日本プロ麻雀協会所属の高見直人になりました。

2016年9月13日

 どうも、日本プロ麻雀協会の高見直人(たかみ・なおと)です…って、言い慣れないですね。今月から、この登録名で麻雀プロとして活動することになりました。以後、お見知りおきを。

「元・麻雀プロ」としての20年間

 私は21歳の頃に日本プロ麻雀連盟に所属したことがあるのですが、すぐに辞めてしまいました。

 というのも、当時は麻雀プロの活躍のフィールドは少なく、プロ団体としての展望も特に見えない(ように思えました)時代。プロと言いつつプロとして収入を得る手段がほとんどなく、事業資金の大半をプロたち自身が払う会費で賄っている状況で、そんな活動に費用を払い続けるのは学生にはなかなか難しかったので、モチベーションが続きませんでした。

 志低くて申し訳ありませんが、そんな訳で当時はプロとしての活動はほぼ皆無。それがずっと心残りではありました。

 その頃うっすらできた人脈と、あとは「元・麻雀プロ」という曖昧な肩書を自称することによって、麻雀に所縁のある方々や麻雀好きな方々と、なんとなく繋がりを持たせて頂くこと二十年余り。最近では少しだけ、麻雀業界絡みのメディアの裏方のお仕事もさせて頂いたりしてます。麻雀のお陰で、いろんな方と出会わせて頂き、数多くの楽しくかけがえのない経験をさせてもらいましたが…それだけに、麻雀プロとして何もなし得ないままで辞めてしまったこと、「麻雀」自体に何も貢献できていないことがずっと引っ掛かっていました。

現在の麻雀を取り巻く状況

 近年の麻雀プロのレベルも、そして麻雀業界を取り巻く環境も、自分が以前プロになった時代よりは格段に好転しているように感じます。

 麻雀の技術や知識だけでなく、ビジュアルやトークスキルやファンへの対応など、メディア・イベント・雀荘ゲストなどで活躍するタレント(文字通り「才能」の意味)を持ったプロが増えており、プロ自身の意識も周囲の認識も変わってきていますね。昭和の麻雀ブームは「麻雀放浪記」(小説・映画)などがアウトローな世界観込みで「大人の遊戯」としての魅力を広めたことで起きたのだと思いますが、現代の麻雀ブームはフェアでオープンな知的ゲームとして認知された結果だと思われます。そしてその”認知”は、動画配信とネット麻雀の役割抜きには語れません。

 スポーツや競技がブームになる際、みんなで同じものを見て応援する・興奮する、共有体験は必須です。日本国民全てが応援できる「日本代表」が活躍したスポーツが、次々とブームになるのはその典型的なパターンですよね。 

 例えばパチンコが一般的なものになって大きな市場を持つに至ったのは(麻雀と競合する部分が大きいので正直あまり語りたくないんですが 笑)、業界が体験を「共有」するための情報を積極的に拡散していったのが”勝因”だと思います。一昔前のパチンコは、メーカーと攻略集団のいたちごっこの部分があり、いわゆるパチプロ・パチンコライターはメーカーにとって邪魔な存在だったはずです(認識が不正確でしたらすみません)。それが近年は攻略法によって劇的に勝てる台は存在せず、その代わりにメーカーが出す新台のスペックやリーチの情報・数値をメディアが拡散することによって、メディアも売れるしメーカーも宣伝になる、という図式に変わっています。これによって、例えばSNSで「このリーチを見た」と言えば「2万分の1のプレミアだ!」と凄さが認識される、「この演出が出たのに2回連続でハズれた」と呟けば「70%を2連続外すとか9%のレアケースだな」と不幸の度合いも共有してもらうことができるようになった、というのが安定したパチンコファンの確保へと繋がっているのではないでしょうか。簡単に言えば「自慢しやすい、慰められやすい」という、SNSでの「薄い絆」社会に合致しやすい状況ですね。

 翻って麻雀について考えると、単に「国士無双をアガった」「3連勝した」と言われても、相手やルールや状況によって全く難易度は異なるので、本来は「自慢」すら容易ではないゲームです。それがネット麻雀で「段位」や「R」などという共通の”通貨”を得たことにより、格段に「自慢」(或いは不幸の共有)が簡単なフィールドができました。最近ではリアルのフリー雀荘でも、成績管理システムなどを通じてそのスタイルができつつあります。

 そして昨今では麻雀についての共有がしやすくなった状況に加え、同じ対局を大勢で見られる、という仕組みも増えて来ました。ニコ生やAbemaTVなど、ほぼ24時間常に、何らかのメディアでプロレベルの対局が見られるというのは、当然見る側も見られる側も成長・成熟する要因となっています。

プロテスト受験の動機

 現状の麻雀界に於いて要求されている、そして大きな伸びしろが望めるのは、「共有体験」を更に分かりやすく伝える為の仕組み作りではないでしょうか。

 そうなると、テレビ局の勤務経験が10年以上あって映像制作や番組編成に関する一定の知識があり、また競馬予想家としてネットから出版まで幅広い手段で「伝える」ビジネスの経験がある自分が、主に裏方として「麻雀」に貢献できるタイミングが来た!と勝手に自任・自負したのが、麻雀プロのテストを受験した大きな動機です。もちろん、年齢的に知力体力が衰える前に真剣勝負の場で自分の麻雀を試したいという強い思いも、もう一つの動機としてありました。

 以前は連盟所属だったのに、今回協会を受験した理由としては、まず協会の人材の多彩さが魅力的に映ること、そして何よりも「トップが偉いルール」が好きなことが挙げられます(協会は1着の順位点が主要団体のなかで最も大きい)。最近はフリーでも圧倒的に2着が多いというダッサい打ち手になってきているので、基本に立ち返って厳しくトップを狙う麻雀に徹したいと思います。

 これは麻雀の普及に関しての持論なのですが…前述の通りネット麻雀が果たす役割の重要さを十分認めつつも、やはり麻雀の「実際に牌を握って人と対面して行う、リアルなコミュニケーションツール」という部分に大きな思い入れがあるので、せっかく4人も集まってやるならば全員が同じ目標(=極限まで諦めずにトップを目指す)を持って鎬(しのぎ)を削るゲームであって欲しい、と思っています。もちろん様々な目的や価値観があっていいのですが、個人的にはプロとしてこの部分を魅力的に伝えることに重きを置きたいので、主に「トップが偉い」ルールで戦う団体に属したいと考えました。

 こういった経緯で日本プロ麻雀協会を志望したのですが…まあそれ以前に、連盟だと40歳以上の新規入会はできないんですよね(泣)。

高みを見すえて

 プロテストでは、前回に引き続きペーパーテストではトップクラスでした。これは普段から偉そうな言動をしているので当然、というかプロならば満点取るべきだというスタンスなので、むしろミスがあったのを恥ずかしく思っています。ただ、連盟受験時に度忘れして書けなかった「嵌張(カンチャン)」の漢字が今回は書けたので、二十数年ぶりにリベンジを果たせたのは嬉しかったです。

 麻雀プロのピラミッドは高く険しく、自分が今後打ち手として大きな舞台に立つチャンスが来るとしてもだいぶ先のことでしょう。そういう機会に対してはもちろん貪欲でありたいですが、しかしこれからやるべきことをちゃんとやって行けばいつかは訪れるかもしれない、というぐらいに考えています。それよりもまず、フェアでマナーが良く麻雀に造詣が深いプロとして、主に裏方や書き手の仕事を通じて「麻雀」の魅力を伝えるべく、共有体験を作ることに寄与できるように頑張りたいと思っています。

 プロ登録名は「半笑い」にして現状僅かにある知名度を活かそうかとも思いましたが、ふざけているようにも見える名前ですので、相談のうえで”人名っぽい”登録名にすることにしました。「高見直人」という登録名には「高みを見すえて、まっ直ぐにつきすすむ人」という意味を込めている…ふりをしつつ、推しているアイドルグループのメンバーからほぼ丸ごと拝借するという”やっちまった”ネーミングですみません。その名前に恥じないように、誠実にしっかりと活動して行きたいと思いますので、ご指導ご鞭撻のほど、欲を言えばご声援のほど、何卒よろしくお願い致します。